カズオ・イシグロ原作の映画『日の名残り』 あらすじとネタバレ

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英国を代表とする作家カズオ・イシグロ原作による映画『日の名残り』。この作品は英国貴族に仕える執事の視点から屋敷での日常風景が語られ、非常にジェントリーで主に忠誠を誓う執事の心情が描かれています。そんな映画『日の名残り』のあらすじをネタバレも含めつつご紹介します。また、キャストや作家カズオ・イシグロについての言及もあり。

映画『日の名残り』について

映画『日の名残り』は、イギリスの作家であるカズオ・イシグロによって1989年に書かれ、氏の3作品目にあたる『日の名残り』(原題は『The Remains of the Day』)の映画化です。

この作品は、アカデミー賞で、主演男優賞、主演女優賞、美術賞、衣装デザイン賞、監督賞、作曲賞、作品賞、脚本賞の計8部門にノミネートされました。

ストーリーは英国で貴族の邸に仕える老執事が語り手となり、執事や家政婦から見た英国貴族の屋敷の中の暮らしについての日が描かれています。

この執事の役をアンソニー・ホプキンスが演じ、1993年に英米合作として、ジェームズ・アイヴォリー監督により作り上げられました。

映画『日の名残り』のあらすじ【ネタバレあり】

ある公爵の執事として忠実にストイックに仕えてきた老執事スティーヴンス(アンソニー・ホプキンス)の回想録。恋を知らずに生きた彼は、気の強い女中頭ミス・ケントン(エマ・トンプソン)と仕事でぶつかりあいながらも、どこかお互いに愛情を抱いていた。

しかし、この感情を抑え仕事に打ち込むスティーヴンスに、ミス・ケントンは待ちきれず、別のスタッフからの求婚に答え、結婚して町を去ってしまう。

やがて、屋敷の持ち主であった侯爵が亡くなり、米国の名士の手に渡る。かつては政府の要人や外交官で賑わった邸だったが、今では使用人たちもすべて去ってしまい、老執事のスティーヴンスのみが仕えていたが、仕事は彼の手に余るものだった。

そんなある日、かつての女中頭だったミス・ケントンから手紙が届く。その手紙の内容には、彼女が離婚をほのめかすような内容が書かれていた。

その手紙を読んだスティーヴンスは、、邸に有能なスタッフを迎えることができるかもしれないという期待と、彼女に対するそれ以上の思いを胸に募らせ、20年ぶりに彼女の元を訪ねることを決める。

そして、彼女とともに過ごした日々を回想する。

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二人の間には様々な出来事が合った。

当時、スティーヴンスは、勝気で率直なミス・ケントンをホールの女中頭として、また、自身の父親であるウィリアムを執事として雇う。ケントンには、「父には学ぶべき点が多い」と告げるものの、老齢のウィリアムはミスを重ねてばかり。

邸の主であるダーリントン卿が、非公式の国際会議を自邸のホールで行うことを取り決め、会議で卿がドイツ支持のスピーチをする最中に病に倒れたウィリアムは死ぬ。

卿は急速に反ユダヤ主義に傾倒し、邸で働くユダヤ人の女中たちを解雇。戸惑いながらも主人へ従うスティーヴンスに対し、ケントンは激しく抗議を示す。

その後、ユダヤ人を解雇したことを後悔する卿。そして、解雇したユダヤ人女中たちを捜して連れ戻すようスティーヴンスに頼む。彼は喜び勇んでこのことをケントンに告げる姿を見て、ケントンは実はスティーヴンスが心を傷めていたことを知る。

やがて、ケントンはスティーヴンスへ思いを募らせるが、彼はあくまで執事としての態度を崩さずケントンに接し続ける。

そんな中、屋敷内で働く他のスタッフからケントンはプロポーズされる。ケントンは最後の期待をかけてスティーヴンにプロポーズされたことを打ち明けるが、彼はここでも儀礼的に祝福を述べるだけだった…。

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そしていま、20年ぶりに二人は再会する。スティーヴンスのもう一度スタッフとして働いてほしいとのオファーに対し、ケントンは孫が生まれるため仕事は手伝えないと断る。

その返答に対し、スティーヴンスはケントンの手を固く握りしめ、彼女を見送ると、また自分の仕事に戻るのだった。

映画『日の名残り』のキャスト

映画『日の名残り』のキャストの紹介です。

主人公の老執事スティーヴンスを、ハンニバルでも脚光を浴びた名優アンソニー・ホプキンスが演じています。

そして、スティーヴンスの相方ともいえる勝ち気な女中頭のミス・ケントンを、エマ・トンプソンが演じています。

ジェームズ・スティーヴンス アンソニー・ホプキンス(世古陽丸)
ミス・ケントン エマ・トンプソン(塩田朋子)
ダーリントン卿 ジェームズ・フォックス(坂詰貴之)
ルイス クリストファー・リーヴ(神奈延年)
ウィリアム・スティーヴンス ピーター・ヴォーン(樋浦勉)
カーディナル ヒュー・グラント(下山吉光)
スペンサー パトリック・ゴッドフリー
デュボン・ディブリー マイケル・ロンズデール
ネヴィル・チェンバレン フランク・シェリー (樋浦勉)

役者の後の( )内は、日本語吹き替え版の担当声優です。

原作者カズオ・イシグロと作品について

村上春樹もかねてより作品を絶賛していた作家のカズオ・イシグロは、イギリスで活躍されている日本出身の作家です。イシグロ氏は幼少期に日本を離れ、以降イギリスで生活され、二十歳までは日本国籍でしたが、現在はイギリスに帰化されています。

何かのインタビューでは、ほとんど日本語は話せないが、生まれ故郷である日本については、とても親近感を感じていると語られていたように記憶します。実際、初期の2作品においては、日本が舞台となる作品でした。

3作目に当たる『日の名残り』により、カズオ・イシグロは英語圏最高の文学賞とされるブッカー賞を若干35歳の若さで受賞し、イギリスを代表する作家となりました。

2017年にはノーベル文学賞を受賞されました。また、現在の伴侶はイギリス人女性で、今ではイギリスにおいて、サーの称号も与えられています。

映画『日の名残り』の視聴方法のご紹介

現在、映画『日の名残り』を観るには、DVDの購入やレンタルで観るか、動画サービスではAmazonのPrime Movieにて有料視聴することが可能です。

Amazon Prime Video

ノーベル文学賞作家の原作とアカデミー賞8部門ノミネートのコラボを、ぜひご堪能ください。

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