デーモンコア。「悪魔のコア」という異名を持つ未臨界量のプルトニウム塊。そのデーモンコアが登場する映画があります。日本と関係の深い原子爆弾の試作に関わる映画で、日本未公開となった作品です。
この危険なプルトニウム実験が、人類史上初の原子爆弾の炸裂を起こし、世界を「核の時代」に突入させる原因となりました。
デーモンコアとは?
デーモン・コア(demon core)とは、かつて実験に使用された重さ6.2キロの未臨界量のプルトニウム塊のことです。アメリカ・ロスアラモス研究所で、このデーモン・コアを使い様々な実験をしました。
当初、このプルトニウム塊はルーファス(Rufus)と名付けられていました。ところが、2度の臨界事故を起こし、研究していた学者が致死量の放射線を浴び、急性放射線障害のため命を落としました。
そのため、ルーファスは「悪魔のコア(デーモン・コア)」と呼ばれるようになりました。
デーモンコア事件
2度の臨界事故を起こしたデーモン・コア。
1度目はタングステンブロックをプルトニウム塊の上に落下させてしまい、核分裂反応を起こしてしまった事故でした。
しかし、2度めの臨界事故は、非常に危険な行為から起きた、事故というよりも事件のようなできごとでした。
球体状のベリリウムを二つの半球にし、その中央にデーモン・コアを仕込んだ装置を作りました。そして、半球の上側と下側の間にマイナスドライバーを挟んで、ドライバーにより上側の半球をコアに近づけたり離したりしての放射能測定をしていたのです。
その最中にドライバーが外れ、二つの半球が完全に接触。デーモン・コアは一気に臨界に達して大量の放射線を発生。ドライバーを操作していた物理学者のルイス・スローティンは被爆し9日後に死亡。この実験に携わっていた他の研究者にも生涯にわたり後遺症が残りました。
この2度めの臨界事故は、大変危険な行為であったために、実験前から他の研究者から批判されていて、実験への参加を拒否されていたものでした。
故に、これは事故というよりも事件と言ってもふさわしい行為でした。
デーモンコアが登場する映画って?
そんな科学者の功名心と道徳心との間にジレンマを起こす元ともなったデーモン・コアですが、それらの実験を含めた原子爆弾の試作を描いた映画があります。それは『シャドー・メーカーズ』という作品です。
第二次世界大戦下、アメリカの国家計画で原爆を作った科学者たち。そして、その原爆はここ日本の広島と長崎に投下されました。当然科学者たちは苦悩・葛藤し、周囲の人々たちやそれぞれの立場と思惑が錯綜する…。
唯一の戦争被爆国である日本に住む私たちには、このシャドー・メーカーズと言う意味がよく分かるかと思います。そして、この『シャドー・メーカーズ』という映画は、広島と長崎の配慮から日本では未公開となった映画です。
不快感を伴う恐ろしさと深く考えさせられるテーマを扱った映画です。私たち日本人が観ると、一層感じるものがあります。
デーモンコアは青い光を放ったか?
2度めの臨界事故が起きた際のこと。ドライバーが外れ、2つの半球が完全にくっついたとき、デーモン・コアからは即座に青い光が放たれ、スローティンの体は熱波により貫かれたのだと言われています。
しかし実際は、青い光はデーモン・コアから発せられたものではなく、まわりの空気が発光したものだという説があります。言うなれば、蛍光灯の光と同じ原理だそうです。
と説明されても、素人の私たちにはよく理解できませんが…(笑)。
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